瞑想は集中力やストレスレベルを下げるだけでなく、鬱や不眠症をやわらげる効果があります。日中の眠気が酷い方や夜眠れずに苦しむ方には、瞑想をすることをおすすめします。
この記事では、瞑想を寝る前に行なった場合の睡眠への効果や、ベッドでできる瞑想のやり方、寝る前に瞑想を行う時の注意点を解説します。
瞑想は寝る前にやっても大丈夫?
瞑想は寝る前にやっても問題ありません。むしろ、寝る前に瞑想を行うことで、不安な気持ちやマインドワンダリング(心ここにあらずな状態)が解消され、眠りにつきやすくなります。
研究によると、瞑想中の脳ではアルファ波とシータ波が発生することがわかっています。アルファ派はリラックスしている状態の脳波で、シータ波は眠気を感じる状態の脳波です。
つまり、瞑想を行うことで、リラックスして眠気を感じるため、眠りにつきやすくなります。
寝る前にやっても問題ないどころか、瞑想は睡眠の質を上げるための方法として効果的なのです。
詳しくは、【寝る90分前の過ごし方が重要!】睡眠の質を上げる方法でも紹介しています。
瞑想をすれば、睡眠薬を飲まなくてもよくなる
日本では瞑想はまだまだ宗教的で怪しいものとして捉えられていますが、米国では瞑想は鬱や不眠症などの治療法として実際に使用されています。
不眠症患者は、瞑想を継続して行うことで眠りにつきやすくなります。睡眠時間も伸び、睡眠の質が上がり、途中で起きることも少なくなるため、結果的に睡眠薬を使う回数が減ります。
鬱や不眠症の治療薬には副作用があり、患者の心と身体に負担がかかります。瞑想を行えば、安全に鬱や不眠症を治すことができるため、新しい医療法としても注目されています。
寝ながら行うのにおすすめの瞑想のやり方
寝る前にベッドで横になって瞑想をする場合には、ボディスキャン瞑想がおすすめです。
ボディスキャン瞑想は、マインドフルネスを医療法として確立したジョンカバットジンのマインドフルネスストレス低減法(MBSR)で行う主要な瞑想です。
頭のてっぺんから足の先まで身体全体をスキャンするように、注意を向けていく瞑想法です。
ボディスキャン瞑想のやり方
ボディスキャン瞑想を始める前に、呼吸を整えましょう。
まずは、ベッドに入る前に、5秒かけて息を吸って、5秒間息を止めて、5秒かけて息を吐きます。1分ほど繰り返し、リラックスできたらベッドに入り横になります。
それではボディスキャン瞑想を始めます。ボディスキャン瞑想中は、深く息を吸ってゆっくりと吐きますが、意識は呼吸ではなく身体に集中します。
- まずは、身体全体に力を入れます。拳を握りしめ、頭、腕、腰、足をベッドに体を押し付けるようにして、3秒間力を入れ、力を緩めます。一度力を込めて元に戻すことで、身体全体がリラックスできます。これを2,3回繰り返します。
- 次に、頭に注意を向けます。後頭部がベッドに触れている感触や、耳の感覚に1分間中注目します。
- 顔に注意を向けます。目、鼻、頰、口の感覚に1分間注目します。
- 首や肩のあたりに注意を向けます。肩がベッドに触れている感覚、首が頭を支えている感覚に1分間注目します。
- 腕と手に注意を向けます。腕が肩に繋がっている感覚、手の甲や指の関節に1分間注目します。
- 背中と腰のあたりに注意を向けます。背中や腰に痛みを感じる場合には痛みを感じてるいることに注意を向けましょう。
- 胸やお腹のあたりに注意を向けます。呼吸をしながらお腹が動いている感覚や、内臓にも注意を向けてみましょう。
- 足と足の指先に注意を向けます。膝やもも、足の指先が互いにくっついている感覚などに注意を向けてみます。
- 身体の中で気持ちの良い部分を見つけたら、その部分の感覚に注意を向けます。
お疲れ様でした。
ボディスキャン瞑想中に寝てしまっても大丈夫
ボディスキャン瞑想は非常に気持ちが良くリラックスできるので、瞑想中にそのまま寝てしまうことがよくあります。瞑想中にそのまま寝てしまっても問題ありません。きっと気持ち良く眠ることができるでしょう。
ボディスキャンは眠りにつきやすい瞑想なので、日中ではなく夜寝る前に行うことがおすすめです。もし日中に行うのであれば、マットや床の上など、硬めの床の上で行いましょう。
ボディスキャン瞑想中に別のことを考えてしまったら
ボディスキャン瞑想中に、別のことを考えてしまっていたり、身体に集中することを忘れてぼーっとしていることがあります。
もしそれに気づいたら、また身体に注意を向けましょう。
最後に注意を向けていた身体の部位に集中して、ボディスキャンを再開しましょう。その時、「自分はなんて集中力がないんだろう」と自分に対して否定的な考えをとってはいけません。ただ、自分の集中が途切れていたことに気づき、身体に注意を戻しましょう。
呼吸に集中する瞑想でもOK
今回は寝ながら行うボディスキャン瞑想を紹介しましたが、呼吸に注意を向けるベーシックな瞑想方法を寝ながら行っても睡眠の質が高まるのでおすすめです。
瞑想の基本的なやり方については、【準備なしでOK】ストレスレベルを下げる瞑想のやり方を徹底解説!で紹介しています。
寝る前に瞑想をするのにおすすめな音楽や音声
寝る前の瞑想をするときには、ボディスキャン瞑想のガイダンス音声を聴いたり、焚き火や波音等の環境音やホワイトノイズなどを聴くのがおすすめです。
今回は、Youtubeで再生できるおすすめな音楽や音声を紹介します。
ボディスキャン瞑想 15分
ボディスキャン瞑想 40分
瞑想ヒーリングBGM
焚き火BGM
波音BGM
寝ながら再生する瞑想アプリがおすすめ
Youtubeで瞑想の音声を流すのも良いですが、Youtubeは課金しないとバックグラウンドで再生できませんよね。寝ながら瞑想用の音声を流すなら、瞑想アプリがおすすめです。
瞑想アプリならスマホをオフにしても再生し続けてくれますし、音声のクオリティも高いです。
おすすめの瞑想アプリはこちらの記事をご覧ください。
【実際に使ってみた感想】おすすめの瞑想アプリを紹介します!
瞑想を続けると睡眠時間が短くてもよくなる
2010年の研究では、瞑想を長期間続けた被験者は、瞑想の初心者に比べて睡眠時間が短かいことがわかっています。
瞑想を続けることで、睡眠の質が高まり、睡眠時間が短くても十分な睡眠が得られると考えられます。
ただし、睡眠時間が短くなるのは瞑想を数年から数十年にわたり長期間続けた場合です。後述しますが、瞑想の初心者は瞑想を行うことによって夜間のメラトニンの分泌が促され、睡眠時間が伸びるケースもあります。
瞑想が睡眠の代わりになるわけではない
瞑想が睡眠の代わりになる訳ではありません。
長期間に渡り定期的に瞑想を行うことで、睡眠の質が上がり、結果的に睡眠時間が短くてもスッキリと起きられる方も居ます。しかし、基本的にはいつもの睡眠時間にプラスして瞑想を行う時間を取りましょう。
瞑想を行うと脳波がアルファ波やシータ波の状態になりますが、意識がなく夢を見ている時に現れるデルタ波が瞑想中の脳波に現れることは確認されていません。
瞑想と睡眠は全く異なるものです。瞑想は睡眠の質を高めてくれるものだと認識して睡眠を蔑ろにしないよう注意しましょう。
毎日、起きた後に瞑想を行うことでも睡眠の質を上げる
寝る前の瞑想だけでなく、午前中に瞑想を行うことでも睡眠の質が上がることを示す研究が発表されています。
瞑想を行うとその日の夜間のメラトニン値が上昇することがわかっています。
メラトニンとは睡眠ホルモンとも呼ばれる、睡眠に関わる重要なホルモンです。歳をとる毎に分泌量が減ります。そのため、歳を取ると睡眠時間が短くなってしまいます。
瞑想を行うことで、メラトニンの分泌量が増え、高齢者は睡眠時間が長くなります。
朝に瞑想するならベッドから出て行う
ただし、起きてすぐにベッドで瞑想を行なってしまうと、脳波がα波やθ波の状態になってしまい眠気を感じてしまいます。二度寝しやすいため、朝はベッドではなく椅子や床に座って瞑想することをおすすめします。
また、瞑想をする時の座り方や姿勢については、【正しい座り方】瞑想をする時の姿勢について解説で紹介していますが、瞑想を座って行う場合は呼吸がしやすいよう姿勢を整えることが大切です。
ぜひ、日常的に瞑想を行い、睡眠の質を上げてください。
参考文献
Increased Theta and Alpha EEG Activity During Nondirective Meditation
J Fell, N Axmacher, S Haupt – Medical hypotheses, 2010 – Elsevier
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